【看護師/移住体験談】離島で働く看護師の役割〜移住したからできること〜/香川県（小豆島町）/コニーリー麻弥

小豆島在住の看護師のコニーリー麻弥と申します。2023年に神奈川から家族で移住しました。現在は、看護小規模多機能施設で看護師として働いています。施設利用中の高齢者の方の健康状態のチェック、訪問看護、緊急時の対応などをおこなっています。

移住前は神奈川県に住んでいて、その前は東京都にいたので、都市部での生活が長かったです。

移住する直前は、子どもが小さかったのでテレワークで保健師の仕事と老人ホームの非常勤看護師をしてました。テレワークがあるので、地方に移住しても大丈夫だと思っており移住を気軽に考えていました。実際は、移住がすべて決まったころに、国の助成金が変更になったため保健師の仕事がなくなりました。

大学卒業後からしばらくは大学病院の集中治療室で働いていたのですが、老年期の看護が好きなので、退職後からは老年期の看護に携わりたいと思っていました。

現在4歳の娘が生まれてからずっとコロナでの自粛生活でした。人混みを避けたり、いろいろなことを我慢したりしましたが、娘が2歳になったころにもっとのびのび育てたいと思ったのがきっかけです。

オーストラリアに住んでいたときに田舎でゆっくり暮らしていたので、ちょうど神奈川に戻ってきて3年くらい経ち、夫婦で都会に疲れていたというのもあったと思います。

私自身、小さい頃は長野の山奥に住んでいたので、子どもが小さいうちは田舎がいいなと漠然と考えていました。

移住先の家や日程が決まるまではテレワークで保健師の仕事をする気でした。テレワークの仕事がなくなった時に、同じようにテレワークでできる仕事を探してましたが、先輩に「そんな良いところに行っていて家の中にこもってたらもったいない」と言われたのがきっかけで地元の仕事も探し始めました。

高齢化率が40%を超えるこの地方では看護や介護の需要が多く、介護施設や病院はどこも人手不足な状態です。

今の高齢者施設の院長と話したときに、「この島には、医療や介護が受けれず困っている人がいる」という話を聞き、看護師として現場で働こうと思いました。

私が感じる地方と都市部の1番の違いは病院の数です。病院や専門病院が少ないため、看護師のアセスメント力が大切です。

都市部のように簡単に病院にかかれるわけではありません。症状が悪くなる兆候を感じ取ったり、受診せず様子を見たり、などの判断をひとりですることが多く判断力が求められます。

都市部では介護職と看護職の業務が分かれているところが多いですが、島では人手不足のため看護師の業務以外の仕事をすることもあります。

プライバシーの観点も違いに驚きました。都市部では、近所との交流がないことも多く、本人の状態が近所の人に知られることはありません。

しかし、島では隣近所みんな長年の知り合いであることも多く、誰かが入院したらすぐわかります。

その結果「近所の人から〜〜さん具合悪いから見にきて」「〜〜さんさっきあっちに行ったよ」など近所の人から教えてもらう情報が多いです。

ご本人が認知症や介護が必要なときに「家族や施設関係者だけでなく地域の人の協力があることが多い」ということに驚きました。

どのようなキャリアプランを築きたいのかを具体的にイメージすることが大切だと思います。その地域の医療面におけるニーズを理解したうえで移住の土地を探すことをおすすめします。

たとえば私が今住んでいるような離島では高齢化が進み、おもに高齢者の医療や施設の場で看護師が求められます。

その一方で、近くの地方都市では、周辺に離島が多くドクターヘリが出動する機会が多く救急の現場で働きたい看護師にとって新たな経験を積むチャンスかもしれません。

具体的にどのような仕事ができるのかを想像することで現実とのギャップを最小限にすることができると思います。

給料面は、都市部より安くなる傾向がありますが、家賃や食費など生活費も下がる可能性がありますので収支のバランスもよりくわしく情報を集めることをおすすめします。

最後に、都市部では訪問看護に自転車を使うことが増えてますが、地方によっては車が必須な場合もあります。車の運転に抵抗がある場合は、職探しのときに先方に伝えたり、教習所に講習を受けに行ったりなどの準備をしておくといいと思います。

直接島の移住促進を担当している部署に連絡をとり、オンラインで説明会を受けたり、東京都で行われていた移住者向けのフェアに参加しました。

SNSをとおして、実際に移住してる方の情報も参考にしました。

移住を決めてから、お試し移住という町がやっているプロジェクトに参加して、実際に1週間くらいこの土地で生活をしました。

私は移住したいと思って半年後には、引っ越してきてますが中には何年もかけてじっくり探す人もいます。

東京や大阪などの都市部では年に数回、地方移住を検討している方向けの移住フェアがあります。

そのようなフェアは同時に複数の自治体が参加していることが多く、いろいろな自治体の話を聞けるので一度参加してみることをおすすめします。

地方移住のメリットはつぎのとおりです。

・都会の騒然とした雰囲気から離れ、自然のなかでゆっくりできること
・ゆっくり子育てができること
・看護師として、成長できること

通勤ラッシュがなく、訪問看護の途中でも自然のすばらしい風景をみることができ、癒しの機会が増えました。

気軽に海に立ち寄れたり、四季の変化を身近に感じたりすることで、以前より心身ともにリフレッシュできているのではないかと思います。

子どもも大自然の中でのびのびと育ってます。公園に行けば、近所の小学生が遊んでくれたり、家の近くの大人がみんなで娘の成長を見守ってくれたりして心強いです。

そして、看護師として成長できると感じます。その方の人生の集大成の時期にどう関わるのかを考えると同時に、全身状態のアセスメントと医療連携の必要の有無を常に考えなければなりません。

気軽に受診できないこともあるため、医師と連携しながらその人にとっての最良の選択を考えます。それが必ずしも「病院に行く」「治療を受ける」という選択肢でない場合もあり、毎回さまざまなことを考えます。
判断をくだす責任もありますが、その分やりがいもあり、自身の成長につながるのではないかと思ってます。

地方移住のデメリットは・・・・難しいです(笑)

私はあまりデメリットを感じてないのですが強いて言えば車の維持費がかかることです。

私が住んでいる地域はマイカー必須なので、車を2台所有しておりこんなに維持費がかかるんだと知りました。

一般の人の地方移住のデメリットとして、仕事が見つからないということがあります。が、看護師はその心配はありません。

難しい質問ですね・・・・

「移住したい」という気持ちがある人ならすべて向いていると思います。

強いていうなら、人とコミュニケーションをとるのが好きな人ですかね。

田舎は都市部に比べ、近所付き合いであったり、それぞれのコミュニティの結束が強い傾向にあります。

人とコミュニケーションをとるのが好きな方はそういうのが苦にならないのではないかと思います。

10月に開催されるお祭りは想像以上でした。島をあげて約1週間、地域ごとに太鼓を担つぎます（この地域では太鼓をかくと言います）

学校や職場が休みになることも多く、1年の中で島が1番盛り上がるのではないかと思います。

都市部にいると、お祭りと言っても地域や自治体での連携はなかったのですが、ここでは違います。地域をあげてお祭りを盛り上げるため、地域の連携や団結が重要です。

そして、これだけ男女平等な世の中ですが、昔からの伝統で太鼓は男の人しか触れないという風習があります。（現在は人手不足のため変わっている地域もあり）

男女平等の観点からいいかどうかを置いておいて、私は昔の日本を感じられるなと思ってます。

このお祭り月間は、都会ではあまりない、近所との付き合いを密に感じられる瞬間です。

最初は、移住者が来たというと地域の方が少し警戒しているのかな？と感じました。距離を保たれている、というか・・・・

とくに我が家の場合、主人が外国人なので近所の方もいきなり外国人が引っ越してきて戸惑っていたと思います。

でも挨拶をかわしているうちに打ち解けていったと思います。今では、近所の方や野菜をお裾分けしてくれたり、娘に畑の野菜を収穫させてくれたりなど地域のあたたかさを感じています。

おそらく、都市部にいても看護師不足と感じているかもしれません。しかし、地方ではそれがさらに深刻です。

看護師が不足しているため、病院や施設が機能せず困っている方もいます。

地方での看護師は、いろいろな分野や対象を総合的にみなくてはいけないことも多く大変なこともあるかもしれません。しかし、それ以上に、看護師として地域の人の役に立てるよろこびややりがいは大きいと私は感じています。

地方移住を考えている看護師の方が、看護師として新たなスタートをきることができるよう応援してます。