僻地医療のメリットとデメリットとは！？移住したい看護師向けに解説

「僻地医療に興味があるけど、そもそも僻地ってどんなとこなの？」

「看護師として僻地に移住した時のメリットやデメリットを知りたい！」

このような疑問を解決できる記事です。

看護師の中には地域医療に貢献したいと思い、僻地と呼ばれる地域で働きたいと考えている人もいるかもしれませんね。

最近では派遣看護師や応援ナース、トラベルナースという新しい働き方で僻地医療に関わる看護師も増えてきています。

今回は僻地医療の看護師向けのメリット・デメリットについて紹介します。

ぜひ、参考にしていただければ嬉しいです。

僻地（へきち）とは？

「僻地」とは、一般的に人口が少なく、都市部から離れた地域を指します。

交通手段が限られており、生活の利便性が低い場所が多いことから、医療機関や医療従事者が不足していることが特徴です。

日本国内には、離島や山間部などが僻地とされており、特に医療体制が整っていない地域では、医療従事者の不足が深刻です。そのため、僻地医療では、地域住民に対して幅広い医療サービスを提供することが求められます。

僻地医療は、医療従事者にとって厳しい労働環境である反面、医療ニーズの高い地域での重要な役割を担う機会でもあります。僻地で働く看護師には、都市部とは異なるスキルや柔軟性が求められることが多く、キャリアの成長にもつながると言えるでしょう。

日本における僻地と呼ばれている地域の例

日本には多くの僻地が存在しており、それぞれの地域で医療の課題が異なります。

ここでは、特に看護師が働く可能性のある代表的な地域を紹介します。

北海道の離島（礼文島・利尻島など）

北海道には多くの離島が点在しており、その中でも礼文島や利尻島は特に僻地とされています。これらの島々は本州から遠く離れており、自然豊かな環境が特徴です。しかし、交通手段が限られているため、医療機関へのアクセスは難しく、医療従事者の数も限られています。特に冬季には厳しい気候条件が加わり、緊急時の対応が困難になることがあります。その一方で、自然環境に恵まれ、地域住民との距離が近いため、看護師として地域社会に深く関わることができる魅力があります。

青森県・下北半島

青森県の下北半島も僻地医療の対象地域の一つです。この地域は、冬には積雪が多く、交通網が遮断されることもあるため、緊急時の医療対応が難しくなります。また、医師や看護師の数が不足しているため、地域の住民に必要な医療サービスを提供するためには、医療従事者一人ひとりが幅広い役割を担う必要があります。しかし、地域住民との信頼関係を築き、長期的に医療活動を続けることで、非常にやりがいを感じることができるエリアでもあります。

東京都・小笠原諸島

東京都にも僻地とされる地域があります。それが、小笠原諸島です。小笠原諸島は東京から約1000km離れており、船でしかアクセスできない孤立した地域です。そのため、医療設備が限られており、医療従事者の数も少ないです。看護師は、限られたリソースの中で多岐にわたる医療業務を担当する必要があり、時には医師の役割を補完することも求められます。しかし、この地域での医療活動は貴重な経験となり、自然豊かな環境で働くことができるため、都市部とは異なる魅力があります。

鹿児島県・奄美群島

鹿児島県の奄美群島も僻地医療の対象地域です。奄美群島は観光地としても有名ですが、医療機関が少なく、医療従事者が不足している地域でもあります。特に、島内で対応できない重症患者の場合は、他の島や本州へ搬送する必要があるため、緊急対応が重要となります。また、奄美群島の看護師は、日々の医療活動だけでなく、観光シーズンには観光客の医療対応も行う必要があるため、多様なケースに対応する能力が求められます。

沖縄県・与那国島

与那国島は、沖縄県に属する最西端の離島で、台湾に近い位置にあります。この島もまた、医療機関が少なく、医療従事者の数も限られています。与那国島で働く看護師は、島内での医療サービスを提供しながら、地域住民の健康を支える重要な役割を担います。自然豊かな環境とともに、観光業も盛んであるため、観光客の対応も求められることがあります。都市部とは異なる独自の生活リズムと地域密着型の医療を経験できるのが、この地域での魅力と言えるでしょう。

僻地医療のメリット〜看護師向け〜

僻地医療のメリットは下記のようなものがあります。

1. 幅広いスキルの習得ができる
2. 患者一人ひとりと密接な関係を築きやすい
3. 自然豊かな環境で働ける
4. 地域社会に貢献できる充実感がある
5. 少人数制のため人間関係が良好

それぞれについて説明していきます。

幅広いスキルの習得ができる

僻地で働く看護師は、都市部の病院に比べて多岐にわたる業務を担当することが多く、幅広いスキルを習得する機会に恵まれます。限られた医療リソースの中で、救急対応から慢性疾患の管理、予防医療まで、さまざまな医療業務に携わることが求められるため、専門的な知識だけでなく、幅広い看護スキルを身につけることが可能です。また、医師や他の医療スタッフとの連携も密接で、チーム医療の一員として働く経験も積むことができます。都市部の病院では担当しないような業務にも積極的に取り組むことで、看護師としての成長を実感できるでしょう。

患者一人ひとりと密接な関係を築きやすい

僻地医療では、地域住民との距離が非常に近いため、患者一人ひとりと密接な関係を築くことが容易です。地域住民の健康管理や生活背景を深く理解しながら、長期的にケアを行うことで、信頼関係を築くことができます。これは、都市部の病院ではなかなか経験できない大きなメリットです。

自然豊かな環境で働ける

僻地の多くは自然豊かな場所に位置しています。都市部の喧騒を離れ、雄大な自然の中で働くことは、ストレスの軽減や心身のリフレッシュにもつながります。例えば、北海道の離島や沖縄の与那国島など、四季折々の風景や自然の美しさを楽しみながら働くことができます。都会の病院で感じる多忙な環境から一歩離れ、自然に囲まれた場所で自分のペースで仕事をすることは、精神的な安定を保つ上でも非常に有益です。また、休日にはアウトドアや地域の文化に触れることができ、リフレッシュの時間を充実させることができる点も魅力です。こうした環境で働くことは、自然が好きな看護師にとって大きなメリットとなるでしょう。

地域社会に貢献できる充実感がある

僻地医療で働く看護師は、地域社会にとって欠かせない存在です。医療アクセスが限られている地域において、看護師が提供する医療サービスは、住民にとって非常に貴重であり、その存在感は大きいです。地域住民との深い交流を通じて、彼らの健康維持を支え、命を守る役割を果たすことで、大きな充実感を得ることができます。特に、慢性的な医療従事者不足に悩む地域では、看護師が地域の人々にとって頼りになる存在として位置づけられ、感謝されることも多いでしょう。都市部の病院では味わえない、地域の一員としての強い絆と、医療を通じた社会貢献の実感が得られる点は、僻地での働き方の大きな魅力と言えます。

少人数制のため人間関係が良好

僻地の医療機関は、都市部に比べて規模が小さく、職員の人数も限られています。そのため、少人数制であることが多く、スタッフ間のコミュニケーションが密接です。看護師同士や医師、他の医療スタッフとの距離が近く、チームとしての一体感が生まれやすい環境が整っています。人間関係が良好であることは、働く上での大きなメリットです。特に都市部の大規模病院では、職場内でのコミュニケーション不足や対人関係のストレスが問題になることがありますが、僻地ではスタッフが一丸となって医療を提供するため、協力し合う風土が強く、職場環境が快適であることが多いです。こうした人間関係の良好さは、日々の仕事をスムーズに進める上でも重要なポイントとなります。

僻地医療のデメリット〜看護師向け〜

僻地医療のデメリットは下記のようなものが挙げられます。

• 生活の利便性の低さ
• 人手不足になることもある
• 重症患者の対応が難しい
• 医療設備や専門医が不足していることもある

それぞれについて説明していきます。

生活の利便性の低さ

僻地で働く際に避けて通れないのが、生活の利便性の低さです。都市部と比べて交通手段や買い物の選択肢が限られていることが多く、日常生活での不便さを感じることがあります。特に離島や山間部では、日用品の入手が困難であったり、インターネットの通信環境が悪いといった問題が発生することもあります。また、娯楽施設や文化的な活動の機会が少ないため、都市部での生活に慣れている看護師にとっては、生活スタイルの大きな変化がストレスになる場合もあります。このような生活環境に適応するためには、僻地ならではのライフスタイルを受け入れる心構えが必要です。

人手不足になることもある

僻地医療において、最も深刻な問題の一つが医療従事者の不足です。看護師や医師の数が十分ではないため、少数のスタッフが多くの業務をこなさなければならないケースが多々あります。特に、看護師が医療全般の業務を担当することが多く、都市部では専門的な分野に分かれている業務も、一人で幅広く対応する必要があります。このため、仕事量が多くなることや、緊急時に対応しきれない場合もあり、精神的・肉体的な負担が大きくなることがあります。人手不足による労働環境の過酷さは、僻地で働く看護師にとって大きな課題となることが多いです。

重症患者の対応が難しい

僻地の医療機関では、重症患者の対応が難しい場合があります。特に離島や山間部では、専門医や高度な医療設備が整っていないことが多いため、重症患者が発生した場合は、都市部の病院への搬送が必要になります。しかし、交通手段が限られているため、迅速な搬送が難しいケースもあります。このような状況では、看護師としての判断力や応急処置のスキルが非常に重要となりますが、やはり限界があるのも事実です。僻地医療では、医療設備や人員の制約がある中で、最善の医療を提供するための工夫が求められるため、看護師には高い柔軟性が求められます。

医療設備や専門医が不足していることもある

僻地では、都市部の病院のように最新の医療設備や専門医が揃っているわけではありません。そのため、診断や治療の幅が限られている場合があります。特に専門的な検査や治療が必要な場合、都市部の病院へ転送しなければならないことが多く、その間に患者の症状が悪化するリスクも伴います。看護師としても、限られたリソースの中でできる範囲のケアを行いながら、他の医療機関との連携を迅速に行うスキルが求められます。このように、設備の不足は看護師の仕事に大きな影響を与えるため、僻地医療の現場では、常に工夫と判断力が重要な役割を果たします。

僻地医療のメリットとデメリットを理解して移住を考えよう！

僻地医療には、看護師としてのキャリアや成長において大きな魅力があります。

幅広いスキルを身につけ、地域社会に密接に関わる経験は、都市部では得られない貴重なものです。しかし、同時に生活の不便さや医療設備の不足、人手不足などのデメリットも存在します。

これらのメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、僻地での看護師としての働き方を検討することが重要です。

移住を考える際には、現地の生活環境や医療体制について十分に情報を集め、自分にとって最適な働き方を見つけることが成功の鍵となります。

僻地医療の現場は、挑戦的でありながらも多くのやりがいを感じられる場であり、地域医療に貢献したいと考える看護師にとっては大変魅力的な選択肢と言えるでしょう。