訪問看護のやりがいとは？訪問看護師になりたい人必見！

看護師としてのキャリアを考えたとき、病院勤務だけでなく「訪問看護」という選択肢もあります。

訪問看護は、病院ではなく利用者さんの自宅で看護を提供する働き方であり、近年、在宅医療の需要が高まる中で注目を集めています。しかし、「訪問看護ってどんな仕事？」「病棟勤務とどう違うの？」と疑問を持つ人も多いでしょう。

本記事では、訪問看護のやりがいや魅力を詳しく解説します。

また、訪問看護師として働くメリットや、どのような人が向いているのかについても紹介するので、訪問看護に興味がある方はぜひ参考にしてください。

訪問看護ならではのやりがいを知り、新しいキャリアの可能性を探ってみましょう。

訪問看護とは？

訪問看護とは、病気や障害を持つ利用者さんが住み慣れた自宅で生活を続けられるよう、医療的ケアや日常生活のサポートを行う看護サービスのことを指します。訪問看護師は、主治医の指示のもとで医療処置や健康管理を行い、利用者さんやその家族が安心して生活できるよう支援します。

訪問看護の対象者は、高齢者だけでなく、慢性疾患を抱える方、障害を持つ方、終末期を迎える方など多岐にわたります。病棟勤務のように複数の患者を同時にケアするのではなく、一人ひとりの利用者さんとじっくり向き合いながらケアを行うのが訪問看護の特徴です。

また、訪問看護では、医療的な処置だけでなく、リハビリテーションのサポートや精神的なケア、家族への指導なども重要な業務となります。利用者さんが自宅で快適に過ごせるよう、看護師が多方面から支援することが求められるため、幅広いスキルが必要となります。

近年では、高齢化の進展に伴い、訪問看護の需要が急増しています。特に、病院を退院した後も継続したケアが必要な患者や、在宅での療養を希望する方が増えており、訪問看護師の役割はますます重要になっています。病院とは異なる環境で働きたい、利用者さんと深く関わる看護をしたいと考えている人にとって、訪問看護は魅力的な選択肢となるでしょう。

訪問看護のやりがい

訪問看護のやりがいは多岐にわたります。

その一部を紹介します。

一人ひとりの利用者さんにじっくりと向き合える

訪問看護の大きなやりがいの一つは、利用者さん一人ひとりにじっくりと向き合えることです。病棟では、多くの患者を担当しながら短時間で対応しなければならないことが多く、なかなか個別に時間をかけることが難しいのが現実です。しかし、訪問看護では、利用者さんごとに決められた訪問時間の中でしっかりと関わることができます。

例えば、日々の健康管理だけでなく、リハビリや生活指導、精神的なサポートなど、個々のニーズに合わせたケアを提供できます。訪問看護を続ける中で、利用者さんが少しずつ回復したり、自分でできることが増えたりする様子を間近で見ることができるのは、大きな喜びです。

また、訪問する回数が増えることで、利用者さんや家族との信頼関係が深まり、安心感を与えることができます。「〇〇さんが来てくれると安心する」「あなたが担当で良かった」と言われることも多く、それが訪問看護師としての大きなモチベーションにつながるでしょう。

生活に沿った看護を自宅環境で提供できる

訪問看護では、病院とは異なり、利用者さんの実際の生活環境でケアを行うため、その人に合った最適なサポートが可能です。病棟では決められた環境の中でケアを行うのに対し、訪問看護では利用者さんの自宅環境に適応した看護を提供することが求められます。

例えば、自宅での移動が難しい利用者さんには、家の中の動線を考慮したリハビリを取り入れたり、家族と協力して生活しやすい環境づくりを提案したりすることができます。日常生活に寄り添った看護を提供できる点が、訪問看護の大きなやりがいの一つです。

人生の最期まで寄り添うことができる

訪問看護の重要な役割の一つに、「終末期ケア（ターミナルケア）」があります。病院での終末期医療とは異なり、訪問看護では、利用者さんが住み慣れた自宅で最期を迎えられるよう支援します。

自宅での最期を希望する方や、その家族に対して、医療的なケアはもちろん、精神的なサポートも含めた包括的な支援を提供することが求められます。最期の時間を自宅で過ごすことを望む方にとって、訪問看護師の存在は非常に大きなものです。

利用者さんやその家族に寄り添いながら、悔いのない時間を過ごせるよう支えることは、大変なことでもありますが、同時に非常に意義のある仕事です。「家で家族と一緒に最期を迎えられて良かった」と言ってもらえたとき、訪問看護師としてのやりがいを強く感じることができます。

利用者さんだけでなく、家族丸ごとケアできる

訪問看護では、利用者さん本人だけでなく、その家族のサポートも重要な役割の一つです。自宅での介護を担う家族にとって、訪問看護師は大きな支えとなる存在です。

家族に対して、医療的なケアの方法を指導したり、介護に関する悩みを聞いたりすることで、家族全体の負担を軽減できます。また、家族が不安を感じることなく介護ができるように、精神的なケアを行うことも大切な役割です。

家族と信頼関係を築きながら、利用者さんの生活を支えていくことができるのは、訪問看護ならではのやりがいの一つといえるでしょう。

訪問看護師という働き方のメリット（病棟との違い）

訪問看護師は病棟とは違う働き方も特徴的です。

訪問看護師という働き方のメリットを紹介します。

土日祝休みのところも多い

訪問看護ステーションの多くは、病院と違い、土日祝日が休みのシフトになっている場合があります。特に、医療機関併設ではなく、訪問看護専門のステーションでは、平日の日勤のみの勤務体系を採用しているところも多いため、ライフワークバランスを重視したい看護師にとっては大きなメリットとなります。

ただし、すべての訪問看護ステーションが土日祝休みというわけではなく、週末や祝日に対応する施設もあります。特に、24時間体制の訪問看護ステーションでは、交代制で土日祝の対応が必要になることもあるため、応募の際には勤務体制をよく確認しておくことが大切です。

電話当番（オンコール）はあるが、夜勤はない

訪問看護では、基本的に日中の訪問業務がメインですが、緊急時の対応として「オンコール（電話当番）」が必要な場合があります。オンコールとは、夜間や休日に利用者さんからの連絡を受け、必要に応じて対応する業務のことを指します。これは病棟の夜勤とは異なり、毎晩必ず呼び出しがあるわけではなく、緊急時のみ対応する仕組みとなっています。

オンコール対応があることで、不安に感じる方もいるかもしれませんが、訪問看護ステーションによってはオンコールなしの求人もあります。また、オンコールの頻度や対応範囲は施設ごとに異なるため、応募前にしっかりと確認し、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。

夜勤がない割には高収入

訪問看護は、夜勤がない勤務形態でありながら、比較的高収入を得られるのが大きな魅力の一つです。病棟勤務では、夜勤手当が収入の大きな割合を占めることが多いですが、訪問看護では日勤のみの勤務でも安定した収入を得ることができます。

訪問看護師の給与は、基本給に加えて、訪問件数に応じた手当が支給されることが一般的です。特に、1日に多くの訪問をこなすことができるステーションでは、インセンティブ制度を導入している場合もあり、頑張り次第で収入を増やすことが可能です。

また、訪問看護の需要は年々増加しており、地域によっては訪問看護師の人材不足が深刻なため、給与水準が高めに設定されている求人も多く見られます。病棟勤務と比べて負担が少なく、かつ収入面でも安定しているため、訪問看護は働きやすい職場といえるでしょう。

医師がいないため病棟とは違う雰囲気

訪問看護の現場では、病院のように医師が常にいるわけではなく、看護師が主体となって利用者さんの健康管理やケアを行います。そのため、自分で判断し、適切な対応をする力が求められますが、その分、自律的に働ける環境でもあります。

病棟勤務では、医師の指示のもとで業務を行うことが多いため、看護師としての裁量が限られることもありますが、訪問看護では、利用者さんの状態を観察し、必要なケアを考えながら提供する機会が多くなります。これにより、専門的な知識やスキルをより深く活かすことができ、自分の判断で患者さんの生活を支えられることにやりがいを感じる看護師も多いです。

また、病棟のような慌ただしい雰囲気とは異なり、利用者さんのペースに合わせてじっくりと看護ができる点も訪問看護の魅力の一つです。

訪問看護ステーションごと特色がある

訪問看護ステーションには、それぞれ異なる特色があり、自分に合った職場を選びやすいというメリットがあります。例えば、小児訪問看護を専門とするステーション、精神科訪問看護に特化したステーション、リハビリに力を入れているステーションなど、さまざまな分野に特化した施設が存在します。

また、地域密着型でアットホームな雰囲気のステーションもあれば、大手法人が運営する組織的なステーションもあり、自分の働き方の希望に合った環境を見つけることができます。転職を検討する際には、訪問看護ステーションごとの特徴をよく調べ、自分のスキルや興味に合った職場を選ぶことが重要です。

訪問看護師に向いている人の特徴3選

訪問看護のやりがいや魅力を伝えたところで、訪問看護師に向いている人の特徴を紹介します。

ぜひ、訪問看護をやってみたい人は参考にしてみてください。

1. 患者さんや家族とじっくり関わりたい人

訪問看護は、利用者さんやその家族と長期間にわたって関わる仕事です。そのため、「一人ひとりに寄り添った看護を提供したい」と考えている人に向いています。病棟では、患者さんとの関わりが短期間で終わることが多いですが、訪問看護では、日常生活の中で利用者さんの健康を見守り続けることができるのが特徴です。

また、家族との信頼関係を築くことも訪問看護の重要な役割の一つです。利用者さんだけでなく、その家族の悩みや負担を軽減することが求められるため、コミュニケーション能力が高く、人と関わることが好きな人には最適な職場といえるでしょう。

2. 自分で判断し、行動することが得意な人

訪問看護では、医師や他の看護師と常に一緒にいるわけではないため、状況に応じて自分で判断し、適切な対応を取る能力が求められます。もちろん、訪問看護ステーションのスタッフや医師と連携しながら業務を行うことになりますが、その場での判断が必要な場面も多いため、責任感を持って仕事に取り組める人に向いています。

また、病棟勤務のようにマニュアルが整っているわけではないため、「自分で考えて柔軟に対応する力」がある人は、訪問看護の現場で活躍しやすいでしょう。

3. 新しい環境で挑戦したい人

訪問看護は、病棟勤務とは異なり、利用者さんの自宅というプライベートな空間で看護を行うため、看護師として新たな経験を積むことができます。病院のような設備が整った環境ではなく、自分の判断でケアを行う場面が増えるため、スキルアップを目指す人にも最適です。また、利用者さんや家族と信頼関係を築きながら、地域に密着した医療を提供できる点も魅力です。新しい環境で成長したいと考えている人には、訪問看護はやりがいのある選択肢となるでしょう。

まとめ

訪問看護は、利用者さん一人ひとりにじっくり関わりながら、生活に寄り添った看護を提供できる仕事です。

病棟勤務と違い、夜勤がなく、比較的自由度の高い働き方ができる点も魅力の一つです。

また、訪問看護では、利用者さんだけでなく家族へのサポートも重要な役割となるため、看護師としての幅広いスキルが求められます。

新たなキャリアに挑戦したい方や、利用者さんの生活に密着したケアを提供したい方は、ぜひ訪問看護の世界に飛び込んでみてください。