看護師の自己評価の書き方と例文集｜新人・中堅・ベテラン別に紹介

年度末や人事考課の時期になると、「自己評価のコメントをどう書けばいいかわからない…」と悩む看護師さんは多いのではないでしょうか。

「どんな表現を使えば評価されるの？」「自分をよく見せすぎても不自然だし…」と迷う方も少なくありません。

この記事では、看護師の自己評価の書き方のコツと、実際に使える例文を新人・中堅・ベテラン別に紹介します。

特養や老健などの施設看護師にも、病院勤務の看護師にも使えるよう、行動目標や成果、課題まで含めた具体的な文章例を多数掲載しました。

評価シートの提出前にチェックするだけで、印象の良い自己評価コメントが書けるようになります。

看護師が自己評価を書く目的とは

自己評価は単なる「自己アピール」ではなく、自分の成長を客観的に振り返り、今後の課題を明確にするためのツールです。

人事考課や面談時の参考資料として用いられることが多く、看護師個人の成長計画だけでなく、病棟・施設全体の教育計画にも影響します。

また、自己評価は「成果」だけでなく「過程」も評価対象となります。

「努力したこと」「改善しようとした姿勢」「チーム貢献への意識」などを具体的に書くことで、管理者に伝わりやすくなります。

つまり、結果だけでなく“考え方や行動”を可視化する文章が評価されるのです。

看護師の自己評価を書くときのポイント

1. 事実ベースで書く

「努力した」「頑張った」などの抽象的な表現ではなく、具体的な行動や成果を書きましょう。
例：「患者とのコミュニケーションを大切にした」ではなく、「毎日5分以上、担当患者と会話の時間を設け、心理的安定に配慮した」と具体化するのがコツです。

2. 成果＋課題＋今後の目標をセットで書く

自己評価には「できたこと」だけでなく「課題」と「今後の改善点」も記載します。
例：「バイタル測定の記録漏れを防ぐため、チェックリストを導入した。今後は他職種との共有体制を整えたい。」

3. 主観ではなく第三者視点で

「自分では頑張った」よりも、「同僚や上司からも安心して任せられるようになった」など、客観的な視点を加えると説得力が増します。

4. 感情ではなく行動で示す

「意識して取り組んだ」よりも、「〇〇のために××を実施した」と行動ベースで書くのが基本です。

自己評価の基本構成テンプレート

看護師の自己評価は、以下の3構成で書くと読みやすく、評価者に伝わりやすくなります。

1. 成果（できたこと）
   　例：「業務の優先順位を意識し、時間内に記録と処置を完了できるようになった。」
2. 課題（できなかったこと）
   　例：「緊急対応時の判断に迷う場面があり、今後の改善が必要と感じた。」
3. 今後の目標
   　例：「先輩看護師の対応を参考に、次回から自ら率先して判断できるよう経験を積む。」

この3点を1セットにして書くと、文章全体に一貫性が生まれ、上司にも評価されやすくなります。

新人看護師の自己評価例文

新人看護師は「できるようになったこと」と「まだ課題が残ること」をバランスよく書くのがポイントです。

謙虚さを保ちながらも、成長の過程を明確に記述しましょう。

例文①：業務の習得に関する自己評価

入職当初は業務の流れを把握するのに時間がかかりましたが、先輩の指導のもと、日々の処置や記録業務を自立して行えるようになりました。報告・連絡・相談を意識して行い、利用者や患者の変化にも気づけるようになりました。
今後は、異常の早期発見につながる観察力を高め、落ち着いた対応ができるよう努めます。

例文②：コミュニケーション面の自己評価

利用者との関係づくりを意識し、笑顔での対応を心がけました。会話を通して安心感を与えられるようになったと感じています。一方で、急変時など慌ただしい状況では焦ってしまうことがあるため、落ち着いて行動できるよう経験を重ねたいです。

例文③：チーム連携に関する自己評価

他職種との情報共有を意識し、介護職員との申し送りを丁寧に行うようにしました。小さな変化を共有することで、チームケアの一体感が高まりました。今後は自分から積極的に意見を発信し、より良いケアにつなげたいと考えています。

新人期は「努力の過程」を中心に書くと、前向きな印象を与えられます。

中堅看護師の自己評価例文

中堅層は、後輩指導・チーム貢献・リーダーシップなど、組織全体への影響を意識した内容にしましょう。

結果だけでなく「支援」「改善」「育成」といったキーワードが効果的です。

例文①：後輩育成に関する自己評価

新人教育担当として、業務手順や報告の仕方を丁寧に伝えるよう心がけました。新人が不安を抱えないよう、声かけや振り返りを通じてサポートしました。その結果、自立して業務を行える看護師が増えました。今後は、教育マニュアルの改善にも関わり、より質の高い育成体制づくりを目指します。

例文②：業務改善への取り組み

記録時間の短縮とミス防止を目的に、申し送り内容のフォーマット化を提案しました。これにより、情報共有がスムーズになり、残業時間も削減できました。今後は他部署にも展開し、全体効率化を図りたいと考えています。

例文③：多職種連携に関する自己評価

介護職・リハ職・ケアマネジャーとの連携を強化し、利用者の生活支援において看護視点から助言を行いました。今後はさらに情報共有を密にし、医療的ケアと生活支援の両立を意識した連携を進めたいです。

ベテラン看護師の自己評価例文

ベテラン層は、チーム全体のマネジメントや教育、施設方針への貢献が求められます。

自分の業務だけでなく、「組織を良くする視点」で書くことが評価につながります。

例文①：チームマネジメント・リーダーシップ

看護リーダーとして、スタッフ間のコミュニケーションを円滑にするための取り組みを行いました。特に夜勤明けの申し送りで情報漏れがないようフォーマットを見直し、全員が同じ基準で情報を共有できる体制を整えました。
また、職員の意見を積極的に取り入れることで、チーム全体の士気向上にもつながりました。今後は新人が安心して発言できる環境づくりにも取り組みたいです。

例文②：教育・指導面での自己評価

教育委員として、年間教育スケジュールの見直しを実施しました。新人・中堅の成長段階に合わせた指導内容を整備し、学びの場を提供できたことが成果です。今後は、教育担当者間の情報共有をさらに強化し、看護全体のレベルアップにつなげたいと考えています。

例文③：組織運営・業務効率化への貢献

業務の見直しを行い、点滴準備や記録入力の分担を改善しました。結果として、日勤スタッフの残業時間を15％削減できました。今後はシステム導入や電子化にも積極的に関わり、業務負担軽減を目指します。

ベテランの自己評価では、「成果＋課題＋次の展望」を明確に書くことが大切です。

自己評価を書くときに避けたいNG例

自己評価を上手に書くための言い回し・フレーズ集

自己評価で使える「ポジティブかつ評価されやすい言い回し」を紹介します。

使い回せるように覚えておくと便利です。

シーン	使える表現例
成果を伝える	～ができるようになった／～を意識して実践した／～を改善できた
努力の過程を示す	～に取り組んだ／～を意識して行動した／～の結果、〇〇につながった
課題を述べる	～に課題を感じた／～が十分でなかった／～への理解を深める必要がある
今後の目標	～を継続したい／～を強化していきたい／～を意識して取り組む予定
チーム貢献	他職種と連携して～を実施した／チーム全体の意識向上に努めた

自己評価は「完璧さ」よりも「成長過程の可視化」が大切です。

“成長を実感している姿勢”を前向きに書くことで、読む側の印象が格段に良くなります。

まとめ

看護師の自己評価は、単に自分を評価するための書類ではなく、成長を振り返り、次のステップへつなげるチャンスです。

新人は学びや成長を、中堅はチーム貢献を、ベテランは組織運営や教育を軸に書くと、より印象の良い評価コメントになります。

重要なのは、「できた」「できなかった」ではなく、“どう取り組んだか”“次に何をするか”を具体的に書くこと。

この記事の例文やフレーズを参考に、あなたの経験や成果を言語化してみてください。

誠実で前向きな自己評価は、必ず評価者に伝わります。